証券取引所のグリーンシート?

証券取引所トップとディスカション

証券取引所のトップのYさんと面談。
今日のテーマは、グリーンシート制度と同等の制度が取引所でできないかの議論。
日本証券業協会グリーンシート制度を店頭市場に近い立派な仕組み育ててくれたものの、予算が少なくプロモーションができないのが課題。
コミュニティ型募集が中心のグリーンシートには投機的投資家が参加しません。
そのために流動性が低く、市場としては社会的評価が高まらない要因となり、取扱証券会社も増えないということも課題です。
ただ、発行会社にとれば会社や事業そのものに投資をする長期安定株主が増えるのはメリットです。
そこで、グリーンシートの課題を克服しつつ、そのメリットが生きるような制度を証券取引所につくることはできないかというテーマでディスカションしました。

日本証券業協会グリーンシート制度とは

日本証券業協会では、原則として証券会社に未上場株式の投資勧誘を禁止しています。
その例外となっているのがグリーンシート
上場会社に準じたディスクロージャー要件を満たし、一定の基準による証券会社の審査を経た会社について、証券会社の申請に基づいて日本証券業協会グリーンシート銘柄として指定します。グリーンシート銘柄については、上場してなくても証券会社が投資勧誘することができるという仕組みです。
銘柄指定後、証券会社には気配(株価)の提示が義務付けられており、取引の参考となる情報を提供します。
取引の結果は証券会社が日本証券業協会に報告して、日々公表されるといった仕組みです。

金融商品取引所にグリーンシート制度をつくる意義

この制度を応用すると、証券取引所グリーンシートに準じた新たな「銘柄指定制度」を創設し、証券取引所が銘柄指定した銘柄について、日本証券業協会の規則で証券会社に投資勧誘を認めるといった制度設計が考えられます。
証券取引所にとって新銘柄指定制度は、有力な上場候補が集まる場となります。そして何より社会的に重要なのは、新銘柄指定制度を経由する上場が新興市場の新規上場の品質を高め、このところ相次いだ不祥事による新興市場の評価向上につながると思われることです。
新銘柄指定制度においては、上場に準じたディスクロージャーを義務づけ、証券会社が審査と指導を行います。この制度を利用する会社にとっては上場企業となるための実践的な訓練の場とも言えます。証券取引所としてもこの間に上場企業としての管理体制ができているかどうかを十分に把握できることができるのです。
Yさんからは社内で検討してみたいとのお返事。
楽しみにお待ちしたいと思います。
いつも積極的に新たな挑戦を続け、着実に成果を上げているYさんには、本当に敬服します。

このテーマにおける課題の一つは金融行政の観点からの制度の整理でしょう。
金融商品取引所における「市場」ではない「銘柄指定制度」をどう位置付けるかということです。
新興市場のあり方が問われる今日、そのひとつの解決策になるか金融庁ともディスカションをしたいと思います。