国土交通省を訪問

国土交通省の住宅局マンション政策室をご訪問。
テーマはマンション建替を促進するファンド「マンション建替支援基金」の組成について。

深刻化するマンションの老朽化

今後、老朽化したマンションの建替問題が深刻になることが予想されます。
原因は日本独特の区分所有法。
区分所有者の8割の合意がないと建替ができないのです。
すでに築50年になるマンションもありますが、廃墟になっても建替ができません。
合意形成がされない最大の理由は建替資金。
建替資金を積みたてるのも苦しく、建替資金を個人が負担することになるとローンが組めない人もいます。
そこで、私から、複数のマンションの修繕積立金から拠出を行う共同の「マンション建替基金」の創設を提案です。

50兆円のマンション修繕積立金を生かす

全国のマンションの修繕積立金の総額は50兆円と推計されます。
これが眠っていると言っても良いでしょう。
これまでは一棟単位の積立で大規模修繕や建替を行おうとしていたものを、複数のマンションの修繕積立金をプールして相互に生かすわけです。
基金民法組合として毎年、組合員となるマンション管理組合から積立金として出資金を徴収。10年以上の拠出を前提に、積立額に応じて会員組合に対して貸付を行います。貸付の資金使途は建替に限定。建替後は、積立金の代わりに今度は、貸付金を返済いただくというスキーム。貸付金利息は運用収入として、参加組合員に積立補助金として分配。建替資金を補います。
基金は外部監査を導入して透明性を高めます。
建替え時期の異なる多くの管理組合が参加すれば、素晴らしいビジネスモデルとなるでしょう。
マンションの建替え問題が一気に解決する可能性があります。
このシステムについては、一級建築士事務所のI社と共同でビジネスモデル特許を出願しました。

マンション管理組合の透明性を高める

このスキームについて私から国交省担当者に説明。
担当のK氏はとても柔軟で暖かい印象の方です。
建替問題については、国交省も重大な問題意識を持っていて、高い関心を示していただきました。
マンション建替促進法も施行されていますが、課題は建替に反対する人で、このスキームで資金問題が解決すれば一歩前進するとの評価です。
ただ、建替に反対する理由は資金だけではないのも事実で、今後、現場の声を聞いていく必要あるでしょう。
また、K氏から、マンション管理組合全般の問題も指摘。
3億円の予算で管理組合の改善指導料等について国が半額を負担する制度が発足するとのこと。
またマンション管理組合への外部監査の導入や会計基準の制定なども計画しているそうです。

マンション管理組合の監査も重要

特に、区分所有者から預かっている修繕積立金が巨額になっている大規模マンションでは、これを理事長名義の銀行口座で預かっていることに、リスクを感じる理事長も少なくありません。
マンションの役員は大抵は区分所有者の持ち回りで兼任。
誰も実質的な意思決定権者がいないことを良いことに、管理会社が必要のない修繕を行ったり、不当に高額な修繕費の請求を行ったりするケースもあるようです。
本来は、それを第三者の専門家がチェックする体制が必要です。
そこに活躍すべきは公認会計士です。
早期に専門家によるマンション管理組合の業務監査と会計監査の制度化を進めるべく、国交省に要望していきたいと思います。