証券会社代表者研修

年に1度の証券会社代表者研修に参加。
全国から証券会社の代表者や関係者が集まり、経団連の国際会議場は満席。

1時間目は西村あさひ法律事務所の武井先生の講義。

経営者の法的責任について。
ダスキンミスタードーナッツの肉まん事件の取締役の対応を例に、組織的隠蔽と金銭で隠蔽工作をしたことの重大さを指摘。
内部統制は「性善」「性悪」というよりも「性弱」への対応であるというのが印象的でした。

2時間目は、デンソーの岡部元社長。

ものづくり日本の企業のあり方について。
好調な時こそ危機意識を持ち、10年先を見て開発投資ができる経営が必要。
いかなる時代にも変化しない「テクニカル・コア」と時代の変化につれて変えるべき「テクニカル・バッファ」があること。
これを混同してはならない・・・つまり原点を忘れることなく、変化に対応するということです。
大切なのはグローバルスタンダードではなく、原点たる「当たり前スタンダード」という、意義のあるお話でした。

3時間目は金融庁の佐藤長官。

リーマン破綻等の米国金融市場の混乱の元凶となったサブプライムローン問題の原因と対応。
法令遵守と内部統制、証券税制の見直し等。
証券化商品は官民連携で健全に発展させるべきもので、そのために原資産のリスク分析と投資者への説明の充実については自主規制規則化で対応したいとのこと。
佐藤長官としては、金融庁向けのアリバイ作りに一生懸命になるのではなく、顧客のために一生懸命に仕事をして欲しいとのメッセージ。
「アリバイ」ではなく「商売」を・・・とのこと。

4時間目は、慶應義塾大学教授の池尾和人先生。

今朝の日経新聞に緊急寄稿で経済教室を書いていますが、ほぼその内容。
先生の言葉で「アービトラージ型金融」と「バリューアップ型金融」があり、この30年はアービトラージ型が拡大してきた。
しかし今回の問題でこの構造が終焉。バリューアップ型に回帰すると予測。
バリューアップ型は金融機能を通じて企業価値を高め、その成果がフィーとして分配されるモデル。
成長企業へのエクイティファイナンスはまさにここにあり、私たちがグリーンシートで実現しようとしている方向です。
スポーツでも一流のプレーヤーと一流の審判によって、素晴らしいゲームを観客は楽しめる。
金融市場におけるプレーヤーは私たち。審判は金融庁
二宮尊徳の言葉を引用。「道徳なき経済は悪である。」そして「経済なき道徳は寝言である。」
日本の金融市場は、道徳と経済性をもって、国際競争力をつけなければなりません。