地場証券はチャンス到来?

機会あって地方の証券会社X社の店舗を視察。
新鮮な発見がありました。

高齢化が進む顧客構造はむしろ強み

人口が10万人ほどのT市にあるX証券の支店を訪問。
駅前が整備されて新たにできたメインストリートの一角にある店に入ると、ロビーのソファーには、株価ボードを眺めるお客様が5名ほど。
一斉に店員が立ち上がって、ご挨拶。・・・思ったより活気があります。
支店長のYさんは、新卒入社から20年の叩上げ。
挨拶と掃除等、接客の基本を忠実に実践し、成績につなげている様子です。
お客様は高齢化が進んでいますが、保有金融資産を考えるとむしろ強み。
この地域で競合する証券会社は1社のみ。
先日開催した金融危機をテーマとして講演会は100名を集客。
金融危機における資産形成と資金調達をテーマに中小企業経営者向けに、ディー・ブレイン証券との共同セミナーもできそうです。
安全性の高い優良株に長期投資をするニーズは高まっていると、Y支店長。

お客様との親密な関係は地銀に勝る

次に同じくX証券のS支店を訪問。ここは競合店ゼロで地域シェア100%。
支店長のMさんもプロパーで、この店に勤務して20年とのこと。
誠実な人柄が見て取れる雰囲気で、お客様の信頼も厚そうです。
信販売の拡大によって安定的な収益を得ていくことが重要との認識。
株式の売買委託手数料が収益の中心のこの会社ではMRFの取扱もなく、投信の販売も進んでいません。
私からは、「経営は望遠鏡と顕微鏡をあわせ持ってやるもの」という話を披露。
家電量販店のコジマの前社長、小島勝平氏の言葉です。
足元で手数料を稼ぐ株を「顕微鏡」とすれば、投信の品揃えは「望遠鏡」。
転勤もなくお客様と長きに渡り「ざっくばらん」な関係を築いているX証券は、地元の銀行と比較しても親密度という点では優位性があります。
商品戦略の見直しと提案戦略によっては、顧客の保有金融資産に占めるシェアを高めることが可能かもしれません。
ペイオフで1千万円が保護のリミットの銀行預金と比較して、証券会社の預り金は分別管理が義務づけられ、無制限に保護されます。
銀行への信頼が揺らいでいる今、一気に預かり資産を増やすチャンス到来です。

このほか別の2店舗も訪問し、地場証券の店舗視察の1日でした。
私が想像していたよりも、はるかに現場は真剣に悩み、考え、前向きに努力しようとしているように感じました。
厳しい環境下ではありますが、ネット証券とは異なる地場証券の未来の可能性を見出すことができたように思います。