証券経済学会で司会

世田谷の国士舘大学で証券経済学会の大会に参加。
IPOをテーマとする自由論題のワークショップで司会を務めました。
報告者は2名。そのうち1名は、グリーンシート銘柄だった私塾の元社長の竹本さんです。

VCの投資ステージに関する研究発表

最初の報告は、九州大学大学院の小樋さん。
VCの投資ステージの傾向についての分析。
日本では創業5年以内の投資をアーリーステージとしていることについて問題提起。
営業利益がマイナスであった時期への投資をアーリーステージとして分析。
その結果から、その後上場した市場別、業種別等にアーリーステージ投資がどの程度の比率を占めるかを分析されています。
ただ、実際にはEXIT環境が厳しくなると、赤字企業への投資は大幅に減少します。
投資をした時期というところも重要な要素で、研究いただきたいと思います。
そして企業を育てる本来の目的のVC投資が進むような提言が欲しいところです。
討論におけるコメントは関西学院大学の岡村先生。
IPOがご専門で、当社のことも良く研究されているとのことでした。

上場意志と企業業績の関連に関する研究発表

竹本さんの報告は、企業経営者の上場意志と企業業績等の関連を統計的手法で分析。
多くの中小企業が上場にチャレンジするための施策等を提言しています。
分析内容から結論を導くところにやや無理もありますが、時間をかけて分析業務を行った大作です。
コメントは日本証券経済研究所の船岡先生。
当社のセミナーにも良くお越しいただき、当社についての理解も深い先生です。
分析手法と結論の幅について鋭い指摘を行っていました。

誰のための上場か?

結局は、上場は誰のためのものかというところを、考える必要があるのです。
証券会社では投機的投資家のための金融商品作りに奔走し、その一つがIPO株だった。
それが実態とすれば、上場したいと思う会社が増えるはずがありません。
投機的投資家のための上場ではなく、また社長のための上場でもなく、優れた事業を社会の中で伸ばすための上場であること。
名実ともにそのような上場を制度として確立し、その真の上場の姿を多くの経営者に知っていただくことが重要と思います。
今月スタートしたTOKYO AIMを理想の市場とすべく、また理想の市場を作るべく私が力を入れてきたグリーンシートが市民権を得ることができるよう・・・学会の議論を実務に生かしてまいりたいと思います。

金融危機は重要な研究課題

懇親会の会場は10階の学生食堂ですが、360度のパノラマの素晴らしい景色。
付近に高いビルがないことから、新宿、池袋の高層ビル群、東京タワーから富士山まで見渡せます。
次回の学会大会は松山大学とのこと。
厳しい環境の証券界は重要な研究テーマが多くあります。
活発な議論に期待したいところです。