インドネシアにグリーンシート創設

ジャカルタに出張。
目的は、インドネシアに未上場株式市場を創設するためのスタディーミーティングへの参加です。
JAICAからインドネシア金融庁にあたるバペパムに出向している篠崎氏が「インドネシアン・グリーンシート」を企画。
私の役割はJAICAの専門家として、日本のグリーンシートについてプレゼンテーションを行うことです。
会場となったボロブドゥールホテルは、50名ほどの参加者。
バペパムのほか、証券取引所、証券会社、中央銀行等、錚々たるメンバーです。
壇上には、私のほか当社担当の細合、篠崎さん、日本VC協会の杉田さん。
議長は、インドネシア大学のニニング教授。

インドネシアグリーンシートの担い手は?

まずは、篠崎さんが講演。
篠崎さんからのプレゼンテーションは、2日間のミーティングの方向づけ。
会議の目的は、インドネシアグリーンシートを運営する方法にあります。
インドネシアでは、銀行から融資を受けることができているのは、中小企業の3割。
そこでグリーンシートで中小企業にエクイティ資金を供給するのです。
篠崎さんから、以下の3つの方法を提起。
1)バペパムが直接の規制機関となる方法
2)証券取引所が規制機関となる方法
3)証券会社の任意団体組織が運営し、バペパムが間接規制する方法

続いて、バベパムの担当者から、現在の法規制等について説明。
インドネシアでは少額公募について開示規制緩和の要件がないことから、インドネシアン・グリーンシートは、私募を前提としたいようです。
議論としてはリスク許容力のある専門投資家・・・という感じで、特に?の方法でやる場合には、TOKYO AIMに近いように思います。

日本のグリーンシートも立ち上げは金融庁が後押し

午後は日本証券代行の橋本さんが東京からTV会議でプレゼンテーション。
グリーンシートのPTSの仕組みについて。
少し単調な説明でしたが、流通市場システムが整備されていることについては、十分に伝わりました。
ただ、異論があるのは、橋本さんが、グリーンシートに政府の支援は全く感じられないと発言したこと。
私からは、97年に始まったグリーンシートの歴史的な背景を説明。
金融ビッグバンの規制緩和の中で、その前身の「未公開株式の投資勧誘制度」として始まったこと。
VIMEXとして私的な市場だったものを、私が金融庁と交渉して制度整備をしていただくようお願いしてきたこと。
その結果、日本証券業協会が規則整備を行い、店頭市場並みの制度として確立したこと。
PTSについては、証券取引法の法改正の中で認められるようになったこと。
・・・等を説明させていただきました。

中小企業の成長は国家戦略であるようで、中小企業向けの新しい金融制度に期待はあります。
ただ、会場からの質問を聞くと、エクイティファイナンスそのものについての理解が不十分であることを感じます。
でも、考えてみれば、これは日本でも同じです。
イスラム教社会では、イスラム金融が中心。デットの仕組みも異なります。
成長経済においては、デットよりも元本価値の上昇の可能性を有するエクイティの方が、資金供給側のリスクは軽減されるのは世界共通。
それでも中小企業向けのエクイティファイナンスが進まない一つの理由は、その価値の上昇を実現するための市場が存在しないことです。
そのための解決策がグリーンシート
間接金融が発達しすぎて、既成概念を壊しにくい日本よりも、何もないに等しいインドネシアの方が、グリーンシートは受け入れやすいかもしれません。