VC保有株式の第三者転売・成功法則

今月のセミナーはこのテーマで勝負です。
新規上場によるEXITが閉ざされたVCにとって、第三者転売によるEXITをグリーンシートで容易にする戦略についてご紹介します。

グリーンシートで第三者転売

未公開株式のまま転売することと比較すれば、グリーンシート銘柄として転売することは、上場会社並みのディスクロージャーに証券会社が仲介機能を果たすことで、転売が容易になることは自明の理。
買い手の立場になればわかることです。
しかし、グリーンシート=市場、市場売却には流動性が必要・・・
という従来の常識に捉われているVC担当者の中には、これが理解できない人もいるようです。

投資先に喜んでもらえるEXIT

経営者に買取を強要してVCとの関係が悪化している投資先も急増しています。
VCが売却するというだけで、社会的評価が落ちるケースも多く、経営者にとっては歓迎できないことでしょう。
その中で、グリーンシートへの株式公開による売却は、VCにも経営者にもプラスが多いのです。
証券会社が会社の成長性を評価して募集・売出を行うことから、会社の社会的評価はプラス。
VCはその中で資本参加型の事業提携先への譲渡を鮮明に打ち出しながら売却を行うことで、EXITそのものがハンズオンとなるわけです。
VCの本来の目的は、事業の成長支援のための投資です。
VCに勤務されている多くの投資担当者の皆さんにとっても、投資先に喜ばれたいという気持ちでお仕事をされていて、EXITの強要で社長から嫌われるのは不本意なはずです。
グリーンシートを活用することで、まず経営者に喜んでいただき、それがEXITを容易にする効果を持つのです。

グリーンシートへの偏見を捨てるのが成功の道

まだ、グリーンシートについて情報不足で十分な理解をされず、偏見を持っているVC担当者も多いようです。
生まれて12年になるグリーンシート
グリーンシートから上場する会社は10社を数え、投機的投資の場ではなく資本的投資によって安定株主が増える株式公開の場。
そろそろ偏見を捨てて、グリーンシートの良いところを素直に認めていただきたく思うのです。


インドネシアにグリーンシート創設 part2

ジャカルタでのインドネシアン・グリーンシート創設のためのスタディ・ミーティング2日目。

グリーンシート先進国、日本のモデル

今日は、私のプレゼンテーションからスタートです。
日本の証券市場の歴史からグリーンシート新興市場が生まれてきた背景を紹介。
新興市場が個人の投機的資金を集めているのに対して、資本的投資を公募で集めるグリーンシートの特徴を説明。
制度面では上場と近い店頭市場です。
アーリーステージの会社が利用して、数千万円〜数億円の募集を行っている状況。
当社のWEBサイトから、ディスクロージャーボードを紹介し、日証代のPTSもリアルタイムで表示。
続いて当社、細合からグリーンシートの審査基準と開示基準について丁寧に説明させていただきました。
会場からは活発な質問。
関心はとても高いようです。

ノンバンクではないVCのあり方

午後は日本VC協会の杉田さんのプレゼンテーション。
中小企業基盤整備機構によるVCファンド支援の仕組みについて力点を置いてご説明。
これまでに1000億円を超える支援が行われきて、地方企業を中心に投資が進んできました。
ただ、IPOの停滞でEXITが課題。
日本でも、VC投資にグリーンシートを活用すべきところです。
一方、インドネシアのVCは、エクイティファイナンスを殆ど行っていないとの会場からの報告。
性格はどちらかというとノンバンク。
エクイティ投資に対する理解をまず深めていただくことが必要なようです。

インドネシアの中小企業を救うグリーンシート

後半のディスカションではニニング教授の司会で、昨日の篠崎さんの3つのプランの可能性について討議。
バペパムの担当者や証券取引所の担当者の発言は、やや消極的。
一方、証券会社には、前向きの発言をする会社がありました。
中小企業の資金ニーズは大きいと思われるし、会社にも新たな商品を品揃え、販売機会が拡大するチャンスと言います。
最後は篠崎さんがまとめ。
2日間の討議をふまえて、グリーンシート創設の具体的作業を開始。
10月には再度スタディ・ミーティングを開催して報告したいと、締めのご挨拶。
大拍手の中で2日間のミーティングが終了しました。


インドネシアにグリーンシート創設

ジャカルタに出張。
目的は、インドネシアに未上場株式市場を創設するためのスタディーミーティングへの参加です。
JAICAからインドネシア金融庁にあたるバペパムに出向している篠崎氏が「インドネシアン・グリーンシート」を企画。
私の役割はJAICAの専門家として、日本のグリーンシートについてプレゼンテーションを行うことです。
会場となったボロブドゥールホテルは、50名ほどの参加者。
バペパムのほか、証券取引所、証券会社、中央銀行等、錚々たるメンバーです。
壇上には、私のほか当社担当の細合、篠崎さん、日本VC協会の杉田さん。
議長は、インドネシア大学のニニング教授。

インドネシアグリーンシートの担い手は?

まずは、篠崎さんが講演。
篠崎さんからのプレゼンテーションは、2日間のミーティングの方向づけ。
会議の目的は、インドネシアグリーンシートを運営する方法にあります。
インドネシアでは、銀行から融資を受けることができているのは、中小企業の3割。
そこでグリーンシートで中小企業にエクイティ資金を供給するのです。
篠崎さんから、以下の3つの方法を提起。
1)バペパムが直接の規制機関となる方法
2)証券取引所が規制機関となる方法
3)証券会社の任意団体組織が運営し、バペパムが間接規制する方法

続いて、バベパムの担当者から、現在の法規制等について説明。
インドネシアでは少額公募について開示規制緩和の要件がないことから、インドネシアン・グリーンシートは、私募を前提としたいようです。
議論としてはリスク許容力のある専門投資家・・・という感じで、特に?の方法でやる場合には、TOKYO AIMに近いように思います。

日本のグリーンシートも立ち上げは金融庁が後押し

午後は日本証券代行の橋本さんが東京からTV会議でプレゼンテーション。
グリーンシートのPTSの仕組みについて。
少し単調な説明でしたが、流通市場システムが整備されていることについては、十分に伝わりました。
ただ、異論があるのは、橋本さんが、グリーンシートに政府の支援は全く感じられないと発言したこと。
私からは、97年に始まったグリーンシートの歴史的な背景を説明。
金融ビッグバンの規制緩和の中で、その前身の「未公開株式の投資勧誘制度」として始まったこと。
VIMEXとして私的な市場だったものを、私が金融庁と交渉して制度整備をしていただくようお願いしてきたこと。
その結果、日本証券業協会が規則整備を行い、店頭市場並みの制度として確立したこと。
PTSについては、証券取引法の法改正の中で認められるようになったこと。
・・・等を説明させていただきました。

中小企業の成長は国家戦略であるようで、中小企業向けの新しい金融制度に期待はあります。
ただ、会場からの質問を聞くと、エクイティファイナンスそのものについての理解が不十分であることを感じます。
でも、考えてみれば、これは日本でも同じです。
イスラム教社会では、イスラム金融が中心。デットの仕組みも異なります。
成長経済においては、デットよりも元本価値の上昇の可能性を有するエクイティの方が、資金供給側のリスクは軽減されるのは世界共通。
それでも中小企業向けのエクイティファイナンスが進まない一つの理由は、その価値の上昇を実現するための市場が存在しないことです。
そのための解決策がグリーンシート
間接金融が発達しすぎて、既成概念を壊しにくい日本よりも、何もないに等しいインドネシアの方が、グリーンシートは受け入れやすいかもしれません。



証券経済学会で司会

世田谷の国士舘大学で証券経済学会の大会に参加。
IPOをテーマとする自由論題のワークショップで司会を務めました。
報告者は2名。そのうち1名は、グリーンシート銘柄だった私塾の元社長の竹本さんです。

VCの投資ステージに関する研究発表

最初の報告は、九州大学大学院の小樋さん。
VCの投資ステージの傾向についての分析。
日本では創業5年以内の投資をアーリーステージとしていることについて問題提起。
営業利益がマイナスであった時期への投資をアーリーステージとして分析。
その結果から、その後上場した市場別、業種別等にアーリーステージ投資がどの程度の比率を占めるかを分析されています。
ただ、実際にはEXIT環境が厳しくなると、赤字企業への投資は大幅に減少します。
投資をした時期というところも重要な要素で、研究いただきたいと思います。
そして企業を育てる本来の目的のVC投資が進むような提言が欲しいところです。
討論におけるコメントは関西学院大学の岡村先生。
IPOがご専門で、当社のことも良く研究されているとのことでした。

上場意志と企業業績の関連に関する研究発表

竹本さんの報告は、企業経営者の上場意志と企業業績等の関連を統計的手法で分析。
多くの中小企業が上場にチャレンジするための施策等を提言しています。
分析内容から結論を導くところにやや無理もありますが、時間をかけて分析業務を行った大作です。
コメントは日本証券経済研究所の船岡先生。
当社のセミナーにも良くお越しいただき、当社についての理解も深い先生です。
分析手法と結論の幅について鋭い指摘を行っていました。

誰のための上場か?

結局は、上場は誰のためのものかというところを、考える必要があるのです。
証券会社では投機的投資家のための金融商品作りに奔走し、その一つがIPO株だった。
それが実態とすれば、上場したいと思う会社が増えるはずがありません。
投機的投資家のための上場ではなく、また社長のための上場でもなく、優れた事業を社会の中で伸ばすための上場であること。
名実ともにそのような上場を制度として確立し、その真の上場の姿を多くの経営者に知っていただくことが重要と思います。
今月スタートしたTOKYO AIMを理想の市場とすべく、また理想の市場を作るべく私が力を入れてきたグリーンシートが市民権を得ることができるよう・・・学会の議論を実務に生かしてまいりたいと思います。

金融危機は重要な研究課題

懇親会の会場は10階の学生食堂ですが、360度のパノラマの素晴らしい景色。
付近に高いビルがないことから、新宿、池袋の高層ビル群、東京タワーから富士山まで見渡せます。
次回の学会大会は松山大学とのこと。
厳しい環境の証券界は重要な研究テーマが多くあります。
活発な議論に期待したいところです。



大恩人の退職

新日本監査法人の原田先生、鈴木先生と会食。
原田先生はこの6月で退職とのこと。
監査法人では私の直属の上司でした。
『こんなに面白い公認会計士の仕事』ではT先生として登場しています。
当時の監査法人太田哲三事務所で、監査部門で壁にぶつかっていた私を、当時のまだ立ち上げたばかりの公開業務部に引っ張ってくれた原田先生。
原田先生との出会いがなかったら、私の人生は大きく変わっていました。
ディー・ブレイン証券も生まれていなかったでしょう。

公開業務部での上場コンサルティングの経験と、そこで出会った多くの中小企業経営者。
故人となってしまったコジマの小島勝平前社長とカンセキの故服部吉雄前社長。
この二人に私は大きな影響を受けました。
小島勝平氏のご子息の章利現社長には、ディー・ブレイン設立以来の株主として、当社を支えていただいています。
この他、多くの経験と出会いとが、ディー・ブレイン証券を生んだ力となっているのです。
その全てを導いてくれたのが原田先生です。

監査部門から公開業務部に異動して、初めて担当した会社がカンセキです。
当時、私は25歳。服部社長はとても大きく見えました。
私は結婚して1年目。長女が誕生したことを服部社長も原田先生も我がことのように喜んでくれたのを覚えています。その娘も、この3月に大学を卒業して就職しました。
・・・そんな思い出話に花が咲き、感慨無量。
原田先生、お元気で。これからも是非、引き続き、公認会計士としてご活躍ください。


ディー・ブレイン大阪、開設記念セミナー

大阪証券取引所ビルの北浜フォーラムでディー・ブレイン(DB)大阪開設記念セミナー。
4月から仮オープンをしていたDB大阪ですが、いよいよ本格的に事業開始です。
55名の申込みを上回る60名が来場し、会場は超満員です。
先週、関西地方に感染が広がった新型インフルエンザの影響も限定的。
会場では消毒液とマスク配布で対策も万全です。
本日の演題は「中小企業・ベンチャー企業の金融環境とグリーンシートの活用戦略」
2時間弱の講演。気合が入りました。
私に続いて本日銘柄指定のフィル・カンパニーの高橋社長のプレゼン。
そしてウィンド・カーの須賀原社長。
最後にDB大阪の実務責任者となる取締役の佐藤修一さんからご挨拶。
不退転の決意で、DB大阪を絶対に成功させるとの力強い決意表明です。
素晴らしいセミナーとなりました。


関東ニュービジネス協議会で講演

関東NBCで「金融機関に頼らない資金調達・成功事例」をテーマとして講演です。
参加者30名ほどですが専門家が多いイメージ。
グリーンシートについて、証券コードやTDnet開示、PTS取引の実例で、実質店頭市場としての株式公開であることについて説明。
例えば、ディー・ブレイン証券グリーンシート銘柄ですが、証券コードは2125。
近い番号には、2121ミクシィ、2127日本M&Aセンターがあります。
証券コードを発行する証券コード協議会では、市場の区別なく、同じ業種分類であれば株式公開の順番に付番するだけ。
証券コード協議会にとって、マザーズもアンビシャスもグリーンシートも同じなのです。
また、東京証券取引所が運営する適時情報開示サービスTDnetにおいては、ここに開示される決算短信その他の適時開示について、東証上場会社もグリーンシート銘柄も同じように並べて開示されています。上場取引所という欄に、東証は「東」、大証は「大」、ジャスダックは「JQ」、グリーンシートは「GR」と記載されて区分されているのが違うだけ。見た目は上場のようで、店頭取引の場のグリーンシート
それでいて安定株主が多く、流動性は低く、個人の投機取引の対象にはなりにくいというのが特徴です。
中小企業にとって、ある意味で理想的な市場とも言えると思うのです・・・。